Kさんの家作り記録

NO.1

 

 家造りについて思うと、今は庶民全般にとっていい時代になってきたように感じます。少し前までは、建築家に頼んで家造りをするなんてことはお金持ちのすることという認識がまだまだ普通だったのに、今では驚くほど敷居が低くなり、お金がないからこそ建築家に頼むという認識も生まれつつあります。「住」を楽しむことの重要さがどんどん認められつつあるのでしょう。

 うちの場合は、海外での「広々とした住」と日本国内での「狭苦しい住」の両方を経験した上で、妻たる私の主導でしたが、なけなしのお金を叩いても「豊かな住」を得たいと思いました。マンションではどうしても限界がある、やはり一軒家にしょうと決めるまでには、一度契約したところをキャンセルするなど、紆余曲折がありました。


 家に関する情報について、以前から少しはアンテナをはっていたのですが、ハウスメーカーに頼んで建ててもらうのが一番手っ取り早いと漠然と思っていました。自分で気に入った土地を探して購入し、建築家を探し、希望の家を建てるということは一番大変なやり方らしいと思っていました。これからどういう暮らしをしていきたいかということをきちんと自分の中で決めていないと、家造りの煩雑さに音をあげてしまうのではないかと危惧し、それだけのものが自分にあるのかと気持ちが引けてしまうところもありました。が、反面、一生に一度の大企画、建築家に会ってどんな家が出来るかちょっとプランを見せてもらいたい、とも思っていました。あとで、まず気に入った建築家を見つけ、その人と相談しながら土地探し・購入というやり方もあったのだと知りました。もっと情報を集めておくべきだったのかもしれません。


 うちはまず土地をエイヤッと買ってしまい、それから久米さんを不動産会社の人に紹介してもらい、同時進行で、主人が選んだハウスメーカー2社にもプランを出してもらって比較検討して決めるやり方を取りました。不動産会社の人が別の物件で久米さんと同席する機会があり、その時の印象で、プロとしての知識はしっかりしているし、話しやすかったし、女性の方が細かい所まで気が届いていいんじゃないですか、ということで何気なくうちに紹介してくれたのでした。狭小敷地だから工夫して家を建てなくちゃという親切心(?)があったのでしょう。

 久米さんのそれまでの仕事も、初めて事務所に行って直接話を聞いた時に写真をいろいろ見せてもらっただけです。勿論行く前に、ホームページで久米さんの事務所のやり方はじっくり読んでおきました。内容に十分納得がいったので、あとは久米さんのセンスが気に入るかだなという心積もりはありました。最初の顔合わせでは、まずどのような段取りで家造りを進めていくのか、設計事務所・施工会社・建築主の関係、設計監理料のこと、久米さんのこれまでの仕事や経験、最近の断熱材のことなど、いろいろなことを分かりやすく率直に説明してもらい、とても好感を抱きました。事務所は久米さん自身が設計した建物なので、それからも久米さんのセンスが伺え、こういう感じがいいなとも思いました。あと、きっちりした性格の人だという印象だったので、安心して設計監理を託せそうとも感じました。とてもいい印象をまず受けましたので、簡単な土地のデータを渡し、久米さんも現地を見てくれていたので、簡単な最初のプランをまず提示してもらうことになりました。

 

久米から一言… 

 

K子様は「狭小敷地」とご謙遜ですが、狭小とは言えない大きさの土地です。念のため…。さて、まずはお褒めいただいていて嬉しいのですが、しかし、これから色々な事が起こります…(大変です!)

 

- GekkanNZ 誌 2018年7月号より
  「建築探訪」連載中です。

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- 一般社団法人海外建設協会(OCAJI)

  会報誌 海外生活だより に寄稿させ

  ていただきました。

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