家づくり記録 Tさん

NO.9

 

 基礎が終わり、棟上げが近づいてきました。
 当初上棟式をする考えはなかったのですが、一生のうち何度もする機会があるものでは無いだろう、また毎日汗を流して下さる職人の皆さんの慰労も出来れば、と式を行う事にしました。
    
 今回は宮司さんを呼ばず、また餅投げ等の昔ながらのしきたりには則らずに内輪でこじんまりしようということになりました。
 そういえばすごーく昔、私の母方の田舎(新潟県ですが)で新築の家から餅を投げて貰ってそれを拾い集めた記憶があります。 私が小学校に入学したばかりの頃の事。 あぁ、あれが上棟式だったんですねぇ。 30年以上も昔の事です。
     
 自分が上棟式をするにあたり、さっぱりわからないのでインターネットで色々調べてみました。

 「こ、これは・・・。すげえ金かかる・・・。」

 ・・・だけど上棟式はやってみたい。 ということで予算の許す範囲でする事に。
 久米さんや工務店の方からは「あまり気張らなくてもいいですよ、ほんの気持ちだけで十分ですから」と言って頂いてはいたのですが、それでもそれなりにしたいよなー、と。 いくら仕事とはいえ、この炎天下で仕事をして下さる皆さんにはアタマが下がる。
    
 結局次のようなものを準備しました。
   ・人数分の寿司と汁物(出前)
   ・するめ、柿の種など乾き物
   ・お茶とビール
   ・家内手製の赤飯おにぎりと糠漬け
   ・手土産用のちっちゃい日本酒と昆布佃煮
   ・ご祝儀(ほんの気持ちだけです・・・)
    
 夏の暑い最中にお寿司、というのは如何なものかとも思ったのですが、私が食べたかった、いや、私が上棟式で出して欲しいのは何かなー、という観点で考えて、各人個々に折詰めを準備するよりも寿司桶に4人前くらいずつあった方がなんだか華やかでいいかな、という単純極まりない理由でこういう形を取る事にしました。特定のネタが好みで無い人もいるでしょうし、式の開始時間に合わせて出前してもらえば夏場でもお寿司でいけるだろうと。
   
  で、当日を迎えます。
    
 式の段取りはシモダさんにお任せです。
 家の四隅に酒・塩・米を捲き、祝詞をあげ、挨拶もそこそこに済ませてあとはお寿司等をつまんで歓談。シモダ社長に上棟式の唄もご披露頂き(家内がいたく感激)、とても印象深い上棟式となりました。
   
 この日に初めて家の中に入った訳ですが、今までは外から眺めている毎日だったので、やっと家の中の広さや高さ、三次元での空間を感じることが出来て 「おぉ家らしくなった」 と一人悦に入りました。
    
 こんな風に上棟式を終えました。
 工事がさらに進行していきます。
 毎日、仕事帰りに家の様子を見に行くのですが、この頃より建物周りをシートで覆い、工事の進行状況が外からではさっぱりわからなくなりました。
 シートをかけるのは仕方がないのですが、ちょっと残念。とても残念。
 ですがこれが外される頃には「おぉっ!」となるのでしょう。
 それを楽しみに待つことにします。
      
 だんだん朝夕涼しくなってきました。今年の夏は短かったです。

 

久米から一言… 

 

嬉しかったですね 上棟式!

 

久しぶりに暖かい気持ちになれた、とても素敵な上棟式でした。

仮こしらえのコンパネのテーブルに皆がついて、社長の上棟祝い歌(これが凄くいい)や施主さんはじめ関係者のご挨拶…

その後のお寿司(物凄く美味しかったのでびっくり。今度食べに行きたいです)と歓談、

そして、奥様の手作りのお赤飯の美味しかったこと。

皆、「美味しいなぁ」と何度も言いながらいただいていました。

その上、お土産のお酒と佃煮までいただいて、本当に感激です。

 

Tさんには余分な出費をさせてしまったと申し訳ない気持ちですが、

きっと皆、この現場でさらに一生懸命やってくれるでしょう。

家を造るという一大イベントに関わる人たちと関係を深めさせる…上棟式は日本の良き慣習だと思います。

 

 

しかし、久米は上棟式の前日、(物凄く久しぶりなんですけど…)現場で激怒…

お隣近所に聞こえてしまったと思われる自分の声を思い出し、ちょっと恥ずかしい上棟式でした。 でも大丈夫、本質的にはとっても良い監督さんなので、現場の状況も、皆さんとの関係もちゃんとその後は良好です。(たぶんね)

 

- GekkanNZ 誌 2018年7月号より
  「建築探訪」連載中です。

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- 一般社団法人海外建設協会(OCAJI)

  会報誌 海外生活だより に寄稿させ

  ていただきました。

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