家づくり記録 Tさん

NO.6

 

 家の形も概ね固まり、次は見積金額調整に。
 予算は相変わらず赤字なのですが、ここでも皆さんの協力の下、減額案や代替案を色々出していただきました。 感謝。
 金額面も超過分が少しずつ収まり、次は契約に向けた最終調整に入っていくのですが、ちょうどこの頃から仕事が多忙になってきました。
 平日も深夜まで残業、休日もたまに出社という感じで、もともと波のある職種ではあるのですが、今回は久しぶりに色々と問題が重なる事案になった為、週末の「自宅のハナシ」を確保する日がとれない。 またこういう時には重なるもので、仕事の都合でとある資格を取らねばならない事になっており、その受験日もちょうどこの時期。 仕事がまずありきで、次に試験勉強、自宅は優先順位第3位。 大事な自分の家のことなのに、なんとも歯がゆい日々を送ることになりました。
 およそ2か月、家の事は殆ど手つかずの状態でした。
    
 そうこうしている間にも、久米さん・工務店の方々とで細かい調整を粛々と進めて下さり、家の件は進行していきました。
 私は2~3週間ごとに状況をヒアリングして承認するだけのお任せ状態。
 そのうち家の模型が出来て見せて頂いたときには「あー、見えてきたなー」と嬉しかったのを覚えています。 本当は自分でも模型を作って色付けし、ジオラマを作ったりもしてみたかったので、なぜこんなに時間が無いのかと悶々としていました。

    
 ある日、久米さんから私のケータイにTELが。
 確認申請手続きで市役所に行った際、実地測定した自宅前の道路幅が役所の図面と一致していない、隣の家や道路との境界はどうなっているのか、道路幅が図面だと5mなのに測定したのが5mに満たない、となるとセットバックせないかん、そうなると間取りも変えねばならんかも、という内容。始めて聞いた時には正直、「え~。今度はそう来るかぁ。色々邪魔してくれるなぁ・・・。」と、困るというよりあきれるという表現に近い感想を持ちました。邪魔してくれてるのは、そう、初めて久米さんとアポをとろうとしたときにも登場してくれた【ナニモノ】か。
    
 ですが久米さんが市役所にかなり強固に交渉して下さっている様子で、TELの感じでそれが伝わったので実はあまり、というか全然心配していなかった。 全部久米さんにおんぶに抱っでした。
    
 久米さん 「道路幅、5mありましたっけ?」
 私     「いや、無いでしょう、多分」
 久米さん 「そうですよね。もうちょっと話してみます。」
 私     「よろしくどうぞ。」
   
 こんな感じのやりとりでした。こういう時には特に実感しますね、プロですね、やっぱり。
 その後、役所の方と久米さんとで現地に同行してもらい、再度実測したら実は5mあったそうです。以前現地でカンタンに測定した道路幅が少し間違ってたようです。その話を聞いた時、「え!そうなの?自分も5mは無いと思ってたんですが・・・。」
 いや、お恥ずかしい限り。自分の家の前の道路のことなのに。
 で、一件落着。 お騒がせしました。
  
 そんなこんなの2か月間にもご近所さんに聞かれます。
  
 「いつ着工するの?早く建ててもらわないと西日が暑いんだけど(笑)」
  
 家内がチビ共と実家に遊びにいった際には
    
義母 「で、家はどこまで出来たの?」
家内 「まだよ。地鎮祭もしてないわよ。」
義母 「・・・一体何をやっているのっ!?」

 ・・・スイマセン、遅れてるのは全部私のせいです。

 その後仕事の波も少し収まり、資格試験も終え、ようやく本契約の段階に近づいていきました。 更地になった土地にはねこじゃらしが生えてきて、えらく伸びてきています。 どこから飛んできたのか、何かの花も咲いています。

 もう、夏がやってきます。

 

久米から一言… 

 

道路の幅員…なんともお恥ずかしい限りです。設計事務所がまるで素人のような発言でした。 (この記録を正直にUPするのがとても辛かったです)

この一件を、HPを読む方に正しく理解してもらうのには、相当の説明が必要なのですが、ごく簡単に言うと、位置を指定している道路巾は届出とおりでなくてはならないという市役所と、現況の幅員を採るのが当然という私とがぶつかったということなのですが、現地測量が間違っていたことが後でわかり、大変にバツの悪い思いをしたという顛末でした。


現実には位置指定の道路が届出とおりに施工されていないところはこの市では良くあると聞いていたため、「完了検査には行っていない」と市役所の担当者から聞いたときは、やっぱり!と思い込んでしまったのがいけませんでした。


それにしても、道路幅員を施主さんにお訊ねする私はプロとはとても言えません。反省いたします。

 

 

 

- GekkanNZ 誌 2018年7月号より
  「建築探訪」連載中です。

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- 一般社団法人海外建設協会(OCAJI)

  会報誌 海外生活だより に寄稿させ

  ていただきました。

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